ご利用規約プライバシーポリシー運営会社お問い合わせサイトマップRSS

[台所] 記事数:1



京都・有次の卸し金

このエントリーをはてなブックマークに追加

京都御所御用鍛冶の伝統を受け継ぐ、刃物屋の卸し金

 まだまだ寒い日が続きます。こんな季節こそと作るのは鍋料理。ちょうど大きな大根をいただいたので、たっぷりおろして“みぞれ鍋”でいこう。具は鱈に白菜、正月残りのお餅も入れて……と支度を整え、仕上げには雪のような大根おろしをと、「卸し金」を持ち出しました。でも、この“すり卸す作業”がけっこう疲れるんですよね。太い大根を半分卸したところで、手がプラプラになりました(汗)それがつい面倒で、ショウガもチューブのを買ってみたり。調理道具としては地味な「卸し金」ですが、いい道具を使うことは時間の節約にもなるし、プロが使うのはどんな品かしらと調べてみました。

 見つけたのは京都の包丁鍛冶屋「有次」。1560年(永禄3年)創業、プロが認める包丁や鍋など、金物の調理器具を扱っています。様々な職人が作り出す道具に「卸し金」もありました。まず構造はとてもシンプル。切り抜いた銅板を叩いて強度を増し、持った時のバランスがいいよう中央に厚みを持たせつつ整えます。錫をメッキしたら、そのグレー部分に卸し金の命である“目立て”を施します。タガネを均一に打ち込み、ひとつひとつのトゲを立ててゆくのです。一列済んだら次と順番に打ち、方向を変えて逆に目を立てる。これを繰り返し向き合ったトゲトゲを並べます。なので、機械で作った物と違い、有次の卸し金は不規則に目が並ぶのです。(それでも人の手とは思えない均一さですが)

 表は荒く、裏は細かく。これもタガネを打つ力加減で作り分けます。大根などは荒い面、ショウガなどは細かい面と使い分けられます。愛用者に聞くと、無駄な力はいらず見事なおろし加減に仕上がるとか。繊維を無理に崩さないので、ふんわりと味良く仕上がるそうです。しかも切れ味が落ちたら、目立てを直してもらえるというから、一生物の道具ですね。名前も刻印してもらえるので、私もいつかマイ卸し金をあつらえてみたいと思います。
 フードプロセッサーも便利だけれど、パッと出してササッと卸すのは、昔ながらの卸し金にかないません。変わらぬ形を守り続ける職人魂を、日々の暮らしに取り入れるには、身近な一品だと思いました。(エミー)


有次 [京都]

ページの先頭に戻る▲

[台所] 記事数:1

新着情報

» 老舗の一品
» カテゴリ



「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)